介護事故を防ぐリスクマネジメントの重要性

リスクマネジメントとは

リスクマネジメントは、現場に潜む危険（リスク）に対して分析や管理（マネジメント）をすることです。それによって損失やトラブルの発生を防ぐことが可能になります。介護現場に限らず、業務上におけるリスクを最小限に抑えるために、あらゆる業種でマニュアルの作成やルールの制定などが行われています。では、介護現場におけるリスクマネジメントとはどういったものでしょうか。

介護現場においては必須のもの

介護施設や介護サービスの主な対象は高齢者です。身体機能が低下しており、日常生活におけるあらゆる場面にリスクが潜んでいる状態です。転倒・転落事故が起きた場合は大怪我につながる可能性が高く、そうならないためにも常に安全を確保しなければなりません。それゆえ、他の業種に比べて介護職員にはリスクマネジメントに関する意識をより強く持つ必要があります。
リスクマネジメントの対象は利用者だけではありません。利用者の家族や介護職員に対しても行う必要があります。利用者が転倒した際に介護職員が下敷きになったり、道義的責任を果たさなかったことが裁判につながったりするケースもあります。事業者側に損害賠償金の支払いが命じられ、評判を大きく落として経営が困難になるといった事態も考えられます。リスクマネジメントは、こういったあらゆるリスクを管理することで、業務におけるトラブルを回避し、サービスの質を向上する効果があります。

リスクマネジメントが必要な理由

なぜリスクマネジメントが求められるのでしょうか。その理由としてまず挙げられるのが、利用者を介護事故から守るためです。利用者を守るために、リスクマネジメントを徹底して介護事故が起こる可能性を最小限に抑えます。また、訴訟のリスクを下げるためにもリスクマネジメントは必須です。実際に転倒・転落事故などによって訴訟されるケースも少なくありません。高額な損害賠償金が発生した場合、事業の継続が困難になる可能性もあります。
介護職員が働きやすい環境を整えるという意味でも、リスクマネジメントが求められます。介護現場で起きる介護事故やヒヤリハットを、介護職員個人の責任にしてはいけません。働きやすい環境を整備することで、防げる介護事故もあるはずです。例えば、役割分担を明確にして担当の業務に集中できる環境を作ることにより、介護職員の負担は減り介護事故が起こるリスクも抑えられます。