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現場での考え方

介護現場において、どういった考え方で業務に臨むべきかを説明します。

現場での考え方

ゼロにするのは困難

まず、介護事故を完全に防ぐことは困難です。利用者は高齢化や疾病などによって、身体機能が低下した状態です。自分のイメージ通りに身体を動かすことができず、認知症の場合はさらにリスクが高まります。また、介護現場は人と人が接する環境です。身体介護を実施する機会が多く、限られた職員数で利用者のケアを行うため、同時多発でトラブルが発生した場合は手が回りません。
加えて、人間は常に同じ行動を正確に行うことはできません。その日の体調や環境の変化による影響を受けます。介護事故を防ぐ意識を持っていても、対応が遅れてしまうこともあるでしょう。ヒューマンエラーは誰にでも起こり得ます。それゆえ、介護事故を完全に防ぐのは難しいといえます。

過度に意識するのは危険

完全に防ぐのは難しいですが、だからといって対策をしなくていいわけではありません。介護事故を可能な限り防ぐために、リスクマネジメントに取り組む必要があります。介護事故が起こった際は内容を分析し、再発防止に努めなければなりません。大きな事故には至らなかったものの、リスクが高い場面に遭遇した際は記録を残し、今後の業務に活かします。ヒヤリハットが起こった際の状況を詳細に記録しておくことで、そこに潜むリスクや今後どういった対応が求められるのかが明確になります。事実、介護現場では介護事故を防ぐための取り組みが必ず行われます。
しかし、未然に防ぐという意識が高過ぎると、利用者の行動を常に監視して行動を制限することになります。介護職員側も、利用者を常に自分の管理下に置く意識が強くなってしまうでしょう。そうなると、本来求められる利用者の自立支援にはそぐわなくなります。介護事故は防がなければなりませんが、過度に防ごうという意識を持つのもよくないことを覚えておきましょう。

防げるものは防ぐ

「防げる介護事故」をどれだけケアできるかがカギになります。そのため、「防げない介護事故」をあらかじめ理解しておくことも重要です。利用者の状態が急激に変化したり、突発的な行動をしたりすることで発生するものは、いくらリスクマネジメントをしていても防ぎきれません。
一方、明らかなリスクが潜んでおり、対策が可能なものに対しては最大限の取り組みが求められます。例えば、嚥下障害のある利用者の食事介助をする際は、誤嚥事故が起きないように注意深く対応します。利用者の安全確保を最優先に考え、物品の位置や居住環境を整備するなど、事前に対策やリスクマネジメントができるものは必ず実施しましょう。

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