実践方法をステップごとに解説
介護現場におけるリスクマネジメントの実践方法を詳しく解説します。
リスクの特定
まずは、介護現場で起こり得るリスクを特定することが重要です。過去に発生した介護事故やヒヤリハットの事例を集めてください。可能であれば、他の介護施設で発生した事例についても調べ、介護職員同士でどういったリスクが潜んでいるのかを話し合っておきましょう。
分析
事例を集めたら、次はそれぞれを分析していきます。最初に、防げるものか防げないものかを分類してください。防げるものは、人的ミスや現場の環境に起因し、危険を予知できるケースです。防げないものは、危険の予知が難しく、対策を講じても避けきれないケースを指します。介護事故には防げないものもありますが、少しでもリスクを抑えるためにそれぞれのケースに適した対策を考えなければなりません。
リスクの把握と分析ができたら、「4M」に当てはめていきます。4Mとは、「人的要因(Man)」「設備的要因(Machine)」「作業環境的要因(Media)」「管理的要因(Management)」の略称です。挙げられるリスクをそれぞれに振り分けることで、介護事故が起こる要因が明確になり、どういった対策が必要になるのかが見えてきます。
対策や対処法の検討
介護事故の要因が分かった後は、考えられるリスクそれぞれに対して具体的な対策や対処法を検討します。その際は、「目を離さないようにする」「対応する介護職員の数を増やす」といった抽象的なものではなく、具体的なタイミングや数字、行動の内容を挙げることが大切です。例えば、転倒・転落事故と一口にいっても様々なケースがあります。1つひとつの場面に応じて、最適な対策や対処法を考えなければなりません。
振り返り
リスクの洗い出しから具体的な対策や対処法を検討した後は、実際にその内容に取り組んでいきます。その結果、以前よりもリスクが抑えられたのか、本当に効果があったのかなどを振り返ってください。別の対応をした方が効果を期待できるなど、改善点があるなら積極的に提案していく姿勢も求められます。実践と改善を繰り返すことで、リスクマネジメントの精度は向上していきます。
情報共有
最後に、これまでの内容や実際に取り組んだこと、その結果最適であると判断された対策や対処法を全ての職員に共有します。様々な取り組みを行い、適切な対策や対処法が分かったとしても、その内容が共有されていなければ意味がありません。それぞれの事例に対する介護事故防止マニュアルの作成や、社員研修などが必要になります。ただマニュアルを配るだけでは深い理解にはつながらないので、危険予知トレーニングなどを実施するといいでしょう。
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