注意していても事故は避けられない
まずは、介護事故とは何かという基本的な知識を紹介します。
介護事故とは
介護施設や介護サービスを提供する際に発生する事故を、介護事故といいます。全国社会福祉協議会では、「社会福祉施設において提供されるサービスの全過程において発生する全ての人身事故で、身体的被害及び精神的被害が生じたもの」と定義しています。加えて、「事業者の過誤や過失の有無を問わない」としています。この定義を基準とした場合、事故による損害の範囲は怪我だけでなく、うつ病などの精神的被害も含まれることになります。
介護事故の主な種類
介護事故が起きないように、関係者は細心の注意を払って業務を行う必要があります。しかし、どれだけ注意していても事故が起こる可能性をゼロにすることは難しいのが実情です。介護事故にはいくつかの種類がありますが、代表的なものとしてまず挙げられるのは、転倒・転落事故です。利用者がつまずいたりバランスを崩したりして、転倒する事故を指します。ベッドや椅子・車椅子などから転落するケースが多く、移動・移乗介助の際は十分に注意しなければなりません。また、脱衣所や浴槽内で転倒・転落事故が発生するケースも多いです。一般的に、足・腰が不自由な利用者に多くみられます。
次に、誤嚥事故です。食べ物や飲み物が、食道ではなく気管に入ってしまうものです。高齢者は嚥下機能や口の周りの筋力が低下しています。主に食事中に発生しやすいため、食事介助の際は十分に注意しなければなりません。また、食事の提供ミスによって発生するケースもあります。
誤薬事故も、利用者の健康に大きな害を及ぼす介護事故の1つです。本来投与すべき薬とは別の薬を投与したり、本来投与すべき時間とは違う時間に薬を投与したりすることによって発生します。薬の管理・記録忘れ、情報共有の不足などによって起こるケースが多いようです。
火災・火傷事故も介護事故に含まれます。介護施設内で火災が生じたり、利用者が火傷を負ったりするケースです。キッチンの火の消し忘れや、給湯器・温水器のトラブルによって起こります。
この他にも、感染症の感染事故や更衣による関節損傷、認知症の影響による排泄物異食、口腔ケアのミスによる受傷、所有物の破損なども介護事故に含まれます。日常生活におけるあらゆる場面で、介護事故が起こるリスクはあります。全ての場面において完全に介護事故を防ぐのは難しい状況ですが、それでも最大限のリスクマネジメントをしなければなりません。
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