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介護事故報告書の作成が義務づけられている

介護事故が発生した際は、介護事故報告書の作成が義務づけられています。概要や目的を知っておきましょう。

介護事故報告書の作成が義務づけられている

介護事故報告書とは

厚生労働省が定める「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」において、介護施設で介護事故が発生した際には、その内容について記録し、報告することが義務づけられています。対象となるのは介護サービスを提供する全ての介護施設で、報告書の様式は特別養護老人ホームなどの介護保険施設を想定して作られていますが、有料老人ホームなどでも活用できるものとなっています。
2021年3月19日に厚生労働省老健局から発表された情報によれば、介護事故報告書を提出する基準について、「死亡に至った事故」と「医師の診断を受け投薬や処置など、何らかの治療が必要になった事故」としています。その他の介護事故に関する報告は、各自治体の取扱いとなっています。自治体では独自に報告を定めているケースもあるため、自身の働く介護施設の基準について、あらかじめ確認しておきましょう。
介護事故報告書の提出期限については、「第一報は、少なくとも別紙様式内の1から6の項目までについて可能な限り記載し、事故発生後速やかに、遅くとも5日以内を目安に提出。その後、状況の変化など、必要に応じて追加の報告を行い、事故の原因分析や再発防止策などについては、作成次第報告」と定められています。介護事故報告書の提出をしなかった場合は、行政の指導が入ります。介護報酬の減算や指定の取り消し、最悪の場合は運営停止の処分を受ける可能性もあります。それだけ、介護事故報告書は重要なものであると理解しておきましょう。

作成する目的

介護事故報告書を作成する目的としてまず挙げられるのは、介護事故の発生または再発を防ぐためです。一度起きてしまった介護事故は、今後二度と起きないようにしなければなりません。介護事故報告書を作成することで内容の振り返りや対策が可能になります。報告された内容は広く共有されるので、他の介護施設がリスクマネジメントを実施する際にも役立ちます。
また、介護事故報告書を作成することで、介護サービスの質向上にもつながります。介護事故の詳細が全ての職員に周知され、結果的に業務に対する意識が高まり、提供する介護サービスの質が向上します。加えて、介護事故報告書は情報開示の際にも役立ちます。訴訟になった場合、事業者側は職員を守るために、対応に問題がなかったことを証明しなければなりません。その際に欠かせないのが、内容を詳細に記録している介護事故報告書です。

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